かわいいフルーツスプーン
お店をオープンしたばかりでクリスタル以外の作品にフォーカスしている場合ではないのですが、今回はインスタで紹介した「フルーツスプーン」について、インスタでは語りきれなかった部分についてお話したいと思います。
撮影用の備品として仕入れたジャム(ベリー)スプーンがかわいすぎまして、まんまとメインにもってきてしまいました。
1950年ごろのフルーツ(ジャム/ベリー)スプーンです。フルーツスプーンには、このように様々なフルーツが表現されていることがよくあります。
当時の果物は甘くないので、果物に砂糖をかけるためにスプーンに穴があいているシュガースプーンなんてものもあります!
とにかく、贅沢の極みです(^^♪
裏には「EPNS A1 Sheffield England」とシェフィールド製シルバーの専売特許である”E.P.N.S.”(Electroplated Nickel Silver)の刻印入り。その横の「A1」とは、銀メッキの厚さが30~35ミクロンというグレードを意味し最高級の銀メッキである事を表しています。
王侯貴族の生活では、純銀カトラリーを使用することが当然でしたが、19世紀に銀メッキ技法が発明されると、純銀ではないもの、その質の高さから貴族の人々にも愛され広がりました。
『シルバー』と一言でいっても、「純銀」や「メッキ」など様々にあります。
「純銀(スターリングシルバー)」とは純度92.5%以上の銀を指しています。その他にも、純度が80%の銀もあります。
※純銀…100%銀では柔らかすぎるため、少しだけ他の物質を混ぜて作られます。
たとえ1%でも銀が入っていたら、「SILVER」という表記が可能になるので、銀製品の難しいところです。
そして、「メッキ」とは銀以外の様々な金属で土台を作り上げ、最終的に銀の層で覆う技術のことです。
メッキと聞くと、なんだか安物のように感じますが、銀メッキされた層の厚さによってその価値は変わります。
シルバーを扱うクリストフル社も、この技法を使用してますが、クリストフルのメッキの厚さは40ミクロン。
一般的な銀メッキの厚さは3ミクロンなので、今回のフルーツスプーンの「A1」30~35ミクロンでもすごいのですが、「クリストフルのカトラリーは3世代に渡って愛用できる」と言われている由縁でもあります。
話に出てきたクリストフル社の創業は1830年で、最初はジュエリー専門のお店でした。1842年にこのメッキをする新技法の特許を取得し、銀製品(食器類とジュエリー)を扱うお店としてその地位を揺るぎないものにしたのです。
創始者 シャルル・クリストフル
質の高いクリストフル社のテーブルウエアは王侯貴族に愛され、フランス王のルイ・フィリップから御用達を受け、王室御用達シルバーウェアと呼ばれるようになりました。
そして、もちろんクリストフルは、「純銀スターリングシルバー」の作品も多く手がけ、用途に合った展開を今なお行っています。
1800年頃にイギリスから始まった産業革命がヨーロッパ→世界と広がり、一気に世界の技術が飛躍していきます。
クリスタルでいうと、ルネ・ラリックも、それまで美術館級のジュエリーを作っていましたが、大量生産できるクリスタル産業に移行し、今でも続く老舗カンパニーになっています。
1850年から1940年頃には、エルメス、シャネル、ルイ・ヴィトン、ディオール、クリストフルといった、有名ブランドの創業が相次ぎます。
サンルイやバカラが扱うクリスタルもこの時期に大きな発展を遂げます。
私がこの時代の作品に惹かれるのは、美術的な感性が一気に花開いた時代の物たちだからなのかもしれません…
と、話はそれましたが、今回のフルーツスプーンはちょっと時代は新しい1950年頃のヴィンテージです。
ヴィンテージ品なので、お皿は現代のウエッジウッドを合わせました✵ ご自宅にあるものと合わせても、とってもおしゃれになりますよ✺ ✺
素敵なTea timeを…
【お皿】
ウエッジウッド ― アレクサンドラ
ティアラとデイジーのモチーフが可愛い𖧷
私はシルバーについては専門領域ではないため、勉強中で、それゆえに今回はちょっと長くなっちゃいましたね。
次のブログで、当時の生活を覗くことができるお勧め映画をご紹介しますね!
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