音楽が聴こえてきそうな花瓶
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【WEDGWOOD-Jasper ware】
小ぶりな花瓶
かわいらしい花瓶をご紹介いたします。
今回はどんなテーマでお話しようかと思い、気になったのが、それぞれの人物が持つハープ(竪琴)です。
花瓶のレリーフには4人の人物のうち、3人がハープ(竪琴)を演奏していて、まるで音楽が聴こえてきそうな花瓶です。



夏になると夏の星座が見えてきます。
夏に見ごろを迎える【琴座】、ベガ。
夏の大三角形、七夕の「織姫様」というイメージがあるのがベガでしょうか(#^^#)?
【琴座】は、このミニハープ(竪琴)の形をしています。

夜空を見上げたくなるような、ちょっと切ないギリシャ神話のお話を添えてみようと思います。
ギリシャ神話でハープと言えば、アポロンの息子オルフェウス。
ハープ(ライアー)を発明した神ヘルメス、そのハープ気に入って譲り受けたのがアポロン(音楽の神アポロン)です。
その才能を受け継いだオルフェウス。
オルフェウスが琴を奏でると、その音色はこの世のものとは思えないほど美しく、だれもがその音色に聞き惚れたそうです。
そして、オルフェウスはエウリディケと結婚しますが、愛する妻が毒蛇に噛まれ亡くなってしまうのです。
悲しみに暮れるオルフェウスは、妻を取り戻すため冥界へ行きます。
冥界には番人がいます。厳しく見張っているのが番人カロンと番犬ケルベロスです。
オルフェウスは琴を取り出し音楽を奏で、そのすきを見て冥界へと入っていきます。
その後、冥界の王・プルトーン(ハデス)の元へたどり着いたオルフェウスは、妻のエウリディケを地上に戻してほしいと懇願します。
もちろん、プルトーンはこの願いを拒否します。
そこでオルフェウスは再び琴を取り出し、願いを込めて演奏します。
見事な音色は冥界の全てに響き渡り、全てのものが感動して涙を流したとか。
その音楽を聴いたプルトーンの妻も音色の美しさに心を打たれ、プルトーンを説得し、その願いは叶えられることになります。しかし、それには条件が付けられました。
条件:【地上に戻るまでは、決してエウリディケ(オルフェウスの妻)の顔を見ないこと】
喜びに満ちたオルフェウスは、さっそくエウリディケを連れて地上へと向かいます。

地上の光が見えてきた、あと少しというところでオルフェウスは妻に声をかけます。
しかし、後ろからは返事がありません。
本当についてきているは妻なのか?と不安になったオルフェウスは、つい後ろを振り向いてしまいます。
もちろん、そこにはエウリディケがいたのですが、その一瞬のうちに再び冥界へと連れ戻されてしまいました。
その後、オルフェウスの願いが叶えられることはなく、己を責めたオルフェウスは川に身を投げて命を落とします。
オルフェウスの分身であったハープだけがそのまま川を流れていき、、、
その死を憐れんだ島の人々や芸術の女神・ムーサイは、
「せめていつも持っていた琴を…」
と夜空に掲げ星座になったのだと伝えられています。
ちょっと悲しお話ですが、ギリシャ神話でよく見るハープにはこのようなお話があったのです。
繊細な音色なのは、オルフェウスの想いが込められているのかもしれません。
そして、この花瓶からも美しい音楽が流れてくるような気がしてなりません。
小さなサイズの花瓶
ロンドンのV&A美術館にも同じような作品があるようですが、本来は台座と蓋があり、トロフィー型をしています。
当時の飾り壺として、陶器などでも作られたデザインです。

このV&Aに保管されているものは1850年頃、今回のご紹介作品は1898年~1908年頃となるため、その頃の作成として、同じく蓋と台座はあったのかなかったのかは定かではありません。
私がそう思うのは、トップの部分。
蓋があったとしたら、その蓋が置かれて隠れるであろうトップの内側や首元まで色が付けられることが少ないです。

もし蓋があるのであれば、わざわざここまで色を塗らないと思ったりもします。
※陶磁器などでは蓋がある場合は、その場所には釉薬がついてないことなども多いため。
光をあてて覗き込むと、中底は白く、色がついてません。
そうなると見える場所だから色を塗ったのではないでしょうか?
いずれにせよ、花瓶として使用していただける素敵な作品です(^^♪
小ぶりなので、サイズのご確認をお願いいたします。

Size |
:W7.4cm H15.5cm |
制作年代 |
:1898年~1908年頃 |
マークの有無 |
:WEDGWOOD MADE IN ENGLAND |
作品状態 |
:良好 |
仕入れ先と時期 |
:イギリス 2022.6月頃 |